行政書士しかできない業務一覧【独占業務を徹底解説】|企業・個人事業主が知っておきたい行政書士の役割
行政書士しかできない業務をご存じですか?
「行政書士には何を依頼できるの?」
「契約書は行政書士に依頼できる?」
「許認可申請をコンサル会社へ依頼しても問題ないの?」
このような疑問をお持ちの企業担当者や個人事業主の方は少なくありません。
2026年(令和8年)の行政書士法改正により、行政書士が行うことのできる業務や、その役割がより明確になりました。
行政書士は、会社設立や各種許認可、外国人雇用、契約書作成など、企業活動に欠かせない法務手続きを支える国家資格者です。一方で、行政書士しか行えない「独占業務」があることは、まだ十分に知られていません。
この記事では、行政書士の独占業務とは何か、企業が行政書士へ依頼できる業務、他士業との違いについて分かりやすく解説します。
行政書士の独占業務とは
行政書士の独占業務とは、行政書士法に基づき、行政書士または行政書士法人だけが、業として報酬を得て行うことができる業務をいいます。
本人が自分自身の手続きを行うことは問題ありません。しかし、第三者から依頼を受けて有償で書類を作成したり、行政手続きを代行したりする場合は、行政書士法の対象となります。
企業では、次のような場面で行政書士の専門性が必要になります。
- 会社設立
- 建設業許可
- 古物商許可
- 飲食店営業許可
- 外国人雇用
- 在留資格申請
- 契約書作成
- 補助金申請
- 各種届出
これらの手続きは、法令や制度改正への対応が求められるため、行政書士へ依頼することで手続きを円滑に進められるだけでなく、法令遵守やリスク低減にもつながります。
行政書士の独占業務は大きく3つ
行政書士法では、行政書士が取り扱う業務を大きく3つに分類しています。
① 官公署へ提出する書類の作成
行政書士の最も代表的な独占業務です。
国や都道府県、市区町村などの官公署へ提出する申請書・届出書を作成し、依頼者に代わって提出手続きを行います。
代表例
- 建設業許可申請
- 古物商許可申請
- 宅地建物取引業免許申請
- 飲食店営業許可
- 風俗営業許可
- 酒類販売業免許
- 産業廃棄物収集運搬業許可
- 屋外広告業登録
- 屋外広告物許可申請
- 法人設立に伴う各種許認可
- 各種変更届
- 更新申請
企業活動では、数多くの許認可や届出が必要になります。行政書士は、それぞれの制度や審査基準に沿って必要書類を作成し、行政庁とのやり取りもサポートします。
② 権利義務に関する書類の作成
行政書士は、契約や権利関係を明確にする書類も作成できます。
代表例
- 売買契約書
- 業務委託契約書
- 秘密保持契約書(NDA)
- 利用規約
- 誓約書
- 示談書
- 内容証明郵便
- 遺産分割協議書
- 遺言書作成支援
- 金銭消費貸借契約書
企業活動では契約書の作成・確認が日常的に発生します。
契約内容を明確にしておくことは、将来的なトラブル防止やリスク管理にもつながります。
なお、紛争中の案件や訴訟を前提とした法律相談は弁護士の業務となります。
③ 事実証明に関する書類の作成
事実証明とは、社会生活上の事実を証明・整理する書類を作成することです。
代表例
- 議事録
- 各種報告書
- 会計記帳
- 実地調査報告書
- 図面
- 各種台帳
- 内容証明資料
- 現況調査資料
企業では、取引記録や社内文書を適切に整備することがコンプライアンス強化にもつながります。
行政書士は、事実関係を整理し、客観的な資料として文書化する役割を担います。
行政書士へ依頼できる主な業務一覧
行政書士は、企業活動に関わる幅広い手続きを支援しています。
主な業務には次のようなものがあります。
会社設立支援
- 定款作成
- 電子定款認証
- 事業目的の作成支援
- 許認可を見据えた設立サポート
許認可申請
- 建設業
- 古物商
- 飲食店営業
- 産業廃棄物
- 屋外広告業
- 屋外広告物
- 宅建業
- 酒類販売業
- 旅行業
- 運送業
外国人雇用
- 在留資格申請
- 在留期間更新
- 在留資格変更
- 特定技能
- 登録支援機関との連携
企業法務
- 契約書作成
- 利用規約
- NDA
- 規程整備
- ガバナンス支援
補助金・認定制度
- 補助金申請支援
- 経営力向上計画
- 事業継続力強化計画
- 各種認定制度申請
行政書士は単なる「書類作成の専門家」ではなく、企業経営を支える法務パートナーとして幅広い役割を担っています。
行政書士しかできない業務を無資格者が行うリスク
行政書士の独占業務は、依頼者を保護し、適正な行政手続きを確保するために法律で定められています。
そのため、行政書士または行政書士法人でない者が、報酬を得る目的で行政書士の独占業務を行うことは、行政書士法に抵触する可能性があります。
企業では「コンサルティング会社だから大丈夫」「知り合いに頼めば安いから」と安易に依頼してしまうケースもありますが、依頼先によっては適法性に注意が必要です。
このようなケースは注意が必要です
例えば、次のようなケースでは、行政書士法上の問題が生じる可能性があります。
- コンサルティング会社が建設業許可申請書を作成し、報酬を受け取る
- Web制作会社が飲食店営業許可や古物商許可の申請書類を有償で作成する
- 人材紹介会社や登録支援機関が、在留資格申請書類を有償で作成する
- 不動産会社が宅建業免許申請を代行する
- 補助金コンサルタントが行政庁へ提出する申請書類を代理で作成・提出する
業務の内容や契約形態によって評価は異なりますが、「官公署へ提出する書類の作成」を有償で業として行う場合は、行政書士法との関係を慎重に検討する必要があります。
企業側も「依頼できる相手なのか」を確認することが重要です。
行政書士・弁護士・司法書士・社会保険労務士との違い
企業法務では、複数の士業が関わることがあります。
それぞれの専門分野を理解しておくことで、適切な専門家へ相談できます。
| 士業 | 主な業務 |
|---|---|
| 行政書士 | 許認可申請、契約書作成、官公署提出書類の作成、企業法務支援 |
| 弁護士 | 法律相談、訴訟、交渉、紛争解決 |
| 司法書士 | 不動産登記、商業登記、簡易裁判所での代理業務 |
| 社会保険労務士 | 労務管理、社会保険、労働保険、就業規則 |
行政書士へ相談するケース
行政書士は、企業活動のスタートから成長まで幅広く支援できます。
例えば、
- 新会社を設立したい
- 建設業や古物商の許可を取得したい
- 外国人を採用したい
- 契約書を整備したい
- 補助金を活用したい
- 各種認定制度を利用したい
といった場合は、行政書士への相談が適しています。
一方、訴訟や紛争解決、法律上の代理交渉は弁護士の業務となります。
行政書士へ依頼するメリット
法令に沿った適切な申請ができる
許認可申請では、制度や審査基準を理解したうえで書類を作成する必要があります。
行政書士へ依頼することで、要件漏れや添付書類の不足などによる差戻しや再提出のリスクを軽減できます。
本業に集中できる
経営者や担当者が行政手続きに多くの時間を費やすと、本来の事業活動に支障をきたすことがあります。
行政書士へ依頼することで、書類作成や行政機関とのやり取りを任せることができ、業務効率の向上につながります。
最新の法改正にも対応できる
許認可制度や行政手続きは、法改正や制度改正によって変更されることがあります。
行政書士は最新の法令や制度を踏まえた実務対応を行うため、安心して手続きを進めることができます。
事業成長まで見据えた提案を受けられる
行政書士は単に申請書類を作成するだけではありません。
例えば、
- 会社設立時に必要な許認可の確認
- 補助金・認定制度の活用
- 契約書の整備
- 外国人雇用に必要な制度設計
- ガバナンス体制の構築
など、企業の成長を見据えた法務サポートを受けることができます。
よくある質問(FAQ)
Q. 行政書士しかできない業務とは何ですか?
行政書士法に基づき、行政書士または行政書士法人だけが、業として報酬を得て行うことが認められている業務です。代表的なものは、官公署へ提出する書類の作成、権利義務に関する書類の作成、事実証明に関する書類の作成です。
Q. 契約書は行政書士へ依頼できますか?
はい。売買契約書、業務委託契約書、秘密保持契約書(NDA)、利用規約など、権利義務に関する書類の作成を依頼できます。
ただし、紛争中の案件や訴訟を前提とした法律相談・代理交渉は弁護士の業務となります。
Q. 行政書士と司法書士の違いは何ですか?
行政書士は許認可や行政手続きを中心に担当し、司法書士は不動産登記や会社登記などの登記業務を担当します。
会社設立では、行政書士が定款作成や許認可支援を行い、司法書士が登記申請を担当するなど、連携して業務を行うケースもあります。
Q. 補助金申請は行政書士へ依頼できますか?
補助金申請では、行政庁へ提出する申請書類の作成や提出代理について行政書士が対応できる場合があります。一方で、補助金の種類や申請方式によっては、事業計画策定など独占業務ではない業務も含まれるため、制度や業務内容に応じて適切な対応が必要です。
Q. オンラインで依頼できますか?
はい。電子申請や電子契約、オンライン面談を活用することで、全国からご相談いただけます。
まとめ
行政書士は、会社設立から各種許認可、契約書作成、外国人雇用、補助金申請、企業法務まで、企業活動を支える幅広い業務を担っています。
特に、官公署へ提出する書類の作成は行政書士法で定められた重要な業務であり、法令に基づいた適切な手続きが求められます。
事業の立ち上げや許認可取得、契約書整備、法令遵守体制の構築などでお困りの際は、行政書士へ相談することで、安心かつ効率的に手続きを進めることができます。
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